2014年6月28日土曜日

中小企業の空洞化適応


〇内容
企業の生産工場の海外移転に伴い、その工場に付随していた中小企業が苦境に陥る状況(中小企業にとっての空洞化問題)に対して、長野県の中小企業をモデルに現状を調査し、空洞化に適応していくために必要なことを提案した書籍。


・調査対象の会社の売り上げ高は、大手からの注文が中心だった20年前から、現在は売上比率が激減(多くても30%、0%の会社もちらほら)

・しかし、会社の従業員数・売上高は 20年前と同程度かむしろ増えている

・別の顧客を開拓し、減少分を補っているわけだが具体的にどのように変化したのかが焦点

・意外にも、抜本的な事業転換や飛び地で売上高を伸ばしたのではなく、もともと所有していた技術で違う分野の似たような製品に展開した

ここからがこの本の主張
・空洞化問題に直面する前からすでに営んでした事業によって新しい仕事を獲得することが大事
・既存事業からの転換は大きな事業転換ではなく、日常的なアレンジの積み重ねによる漸進的な転換になる
・新しい顧客を引き付けるコアサービスとして次の二つが重要
     ・新製品開発のコアサービス (顧客の製品に必要な部品や製造工程開発の一部な代行することで、製品とサプライチェーンの詳細設計を支援)
     ・新製品の普及に向けた供給プロセスの 整流化の一部を代行するサービス (コストダウン案の提案など)

その他、製品・工程アレンジ能力や取引関係の構築に関する記述あり。


〇感想
 企業の成功事例に関する書籍は大企業を題材にしたものが多いため、参考になりにくい部分があるように感じていたため、中小企業に視点をあてた点に関しては興味深い書籍。
ただし、300ページに及ぶため、ちょっと読んだだけではわかりにくい。

また、空洞化に対しての提案は、それってどこの会社もやってることでは?と感じるものもあり、自分に立ち返って考えるといまいち何を改善するればよいのかしっくりこないのが正直なところ。
大きな事業転換ではなく漸進的な転換が重要という点はなるほどと思ったが、中小企業の場合、体力的にそういった手法しか取れないのが現実で、たまたま顧客から自社にとって扱いやすい製品をお願いされ、もともとの技術がはまったというようにも感じる。最近は展示会なども盛んにやってるので、こういうところで顧客を獲得している場合もあるように思う。
 他に気になるのは生き残った会社のみの分析である点。おそらく残念ながら廃業に至った会社もあるだろうし、それらの会社と何が違ったのかは分からない。
まぁこの手の書籍は 成功事例しか分析しようがないのでしょうがないが。。




















〇感想

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